富岡製糸場を代表とするシルク・カントリー ぐんまに本社のあるほんやら堂が「日出絹(ひいずるきぬ)」ブランドのフェイスケアやボディケア商品を作っていることは昨年9月のこのブログでご紹介しました。
http://blog.livedoor.jp/honyara_kawaguchi/archives/52189329.html

日本のシルクと言うと白い繭になめらかというイメージそのものですが、今日は黄金色に輝くカンボジアのゴールデンシルクのお話をしたいと思います。

タイ、ベトナム、中国のシルクは白い繭ですが、これは色を染めやすいように品種改良されたものです。カンボジアのシルクはカンボウジュ種といい品種改良されていない昔のままの黄色い繭で生糸も黄色い色をしています。風合いもざっくりしています。日本の繭に比べ大きさも1/3ほどしかありませんので取れる生糸の量も少ないです。生糸は機械で引っ張ると細く長く取ることができますが、カンボジアのは手で引きますので長さも取れず、ぷつぷつとでこぼこがあり光の反射で独特の光沢を生み出します。

アンコール王朝時代にはクメール織の工房ができ、フランスの植民地時代にはフランスへ絹織物が輸出されていたそうですが、内戦時代に知識階級や織り手たちはどんどん殺害されてしまい伝統工芸として絶滅の危機に瀕しました。

それを復興させたのが京都の友禅職人の森本喜久男さんです。2/7のTBS系「世界ふしぎ発見!」にも取り上げられたのでTVでご覧になった方も多いと思いますが、殺害から免れた高齢の織り手を森から探し出して若手に引き継がせていくという偉業を成し遂げた方です。まさに同じ伝統工芸の技術を持つ日本人ならではの仕事だと思います。さらに森本さんは荒地を開墾して「伝統の森」を作り、今では150人が住んでいます。これは自然環境再生プロジェクトとして世界が注目しています。また、ご自身が「カンボジアに村をつくった日本人」という著書に書いておられます。

さて、昨年はカンボジアの企業6社が昨年のグッドデザイン賞を受賞し、そのうち5社がシルクの工房です。コラボを希望する日本人デザイナーが年末に選抜され、いよいよカンボジアに打ち合わせに出かけます。いずれも活躍中であり、まだまだ伸び盛りの日本を代表するデザイナーたちです。森本さんとはまた違ったアプローチになりますが、カンボジアのシルクはどのように変化を遂げるのでしょうか。日本のシルクとカンボジアのシルク、シルクの民どうしだからこそわかりあえるものがあるような気がします。もっとシルクを、いろいろなシルクを。