米国では11月の第4木曜日は「感謝祭(Thanksgiving Day)」で七面鳥を食べる、とここまではたいていの日本人が知っている所です。何とこの七面鳥料理は米国の86%の家庭で用意されるとか。それでも1992年の91%からは減っています。この日、自宅で食事をする人は45%、親族の家でと答えたのは42%、レストランでという人は5%、友人の家でという人は6%というアンケート結果になっています。家族のいない人、遠く離れている人にとっては寂しい思いをするのが感謝祭かも知れません。

日本にも「勤労感謝の日」があるので感謝祭と勘違いしそうですが、米国の感謝祭は開拓者が初めて収穫ができたのを祝ったのが起源と言われています。とはいえ、日本の勤労感謝の日は法的には「勤労を尊び、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」日ですが、起源は天皇が収穫物に感謝する「新嘗祭(にいなめさい)」です。ともに秋の実りに感謝するという人間のごくごく普通の気持ちから発したとも言えます。

さて、ブラックフライデーとはマーケティングでもよく出て来る言葉ですが、感謝祭の次の金曜日のことで、米国最大のバーゲンの日を意味しています。「クリスマス商戦」の幕開けです。クリスマスは米国では年間最大のギフトの機会です。日本はお中元、お歳暮をはじめ、誕生日、○○祝い、母の日、父の日、子どもの日、敬老の日などギフトの機会は年中ある上に、お土産好きなのでギフト市場は巨大です。ところが米国ではやはりクリスマスに集中する傾向があり、米国の消費景気のバロメーターでもあります。また、商品を供給するアジア諸国のメーカーなどはクリスマス商戦の成功不成功は会社の業績に大きく影響するので毎年春夏の受注シーズンは必死に対応をしています。

最近になってこのブラックフライデーの模様がTVニュースで流されたり、動画サイトで見ることができるようになりましたが、やはり女性どうしのバトルがすさまじく、スタンガンまで飛び出したり、取っ組み合いになり警官に手錠をかけられる女性までいるようです。

なにせ50%オフは当たり前、70%オフだってあります。ギフトの費用を大幅に節約できる、あるいは同じ予算でも2倍以上良いものを買えるとなればエキサイトするのもいたしかたないような気がします。日本の福袋の争奪戦を何だか思い起こさせます。

日本は年中セール状態になっていて福袋もあまりありがたみがありません。超割安であっても不要なもの、気に入らないものも入っているのでは家族や友人が多くない限り結局は無駄使いとなります。ところが最近は福袋の中身をばらして単品でオークションサイトで売っている人や他の買い物客と物々交換する人も出現。お店側も「見える福袋」、「選べる福袋」を開発しています。ここまで来ると単なる「超破格値のまとめ売り」にしか過ぎませんが「福袋」と呼び、福の来そうな袋に入れてあるところは日本のほうが1枚も2枚も商売がうまいと感じます。