夏の家電と言えばまずエアコンかも知れませんが、なくてはならず地味に頑張っているのが冷蔵庫ではないでしょうか。先日、家電メーカーの方とお会いし、その方が冷蔵庫の商品企画の経験があったのでいろいろお話をうかがいました。

まず素朴な質問から。冷蔵庫の室温設定は何度かご存知ですか?冷やすという機能製品でありながら消費者は案外知らないと思います。

「一般店に冷蔵庫の設定温度は
冷蔵庫は1℃〜5℃
(工場出荷3℃で設定)
(凍らなく 且つ 腐らなく日持ちをさせる)
冷凍庫は−18℃〜−20℃(
(工場出荷−18℃で設定)
(長期 冷凍保存に適し、且つ 消費電力(コスト)もそこそこに効率よく冷やす)
で運転、食品は保存されます。」

何度に設定されているか、本当にその温度に保たれているのかいちいちチェックしなくて済むのもいかにメーカーに対する信用が高いかの証拠ですね。

冷蔵と冷凍に分割するのはアメリカに始まった2ドア冷蔵庫のスタイルで上が冷凍、下が冷蔵、昔の日本の冷蔵庫はそうなっていました。

ところがガラパゴス日本、冷蔵庫も特有の進化をとげます。

日立は2000年まで野菜を新鮮に長期間保存して・・・という開発コンセプトで野菜中心蔵(もじってますが)のセールストーク&商品ニックネームで多ドアの冷蔵庫(上が冷蔵室、真ん中が引出式野菜室、下が引出式冷凍室)を開発、大ヒットし他社がこれに追随しました。ちょうどこの年代は淡い色使い、ピンク系も流行りました。

2000年以降は、働く主婦を助ける冷凍食品が世の中にたくさんで出回り始め、それまでの野菜室中心の冷蔵庫から冷凍食品がを多く収納でき、出し入れがしやすい真ん中が引出式の冷凍庫、業界ではミッドフリーザーと呼ばれるスタイルが主流になり現在にいたっています。

多ドアスタイルでは
冷蔵室は使い勝手の良い、冷蔵庫の一番上に移動
上から 冷蔵室 3℃
 その冷蔵室の中に、透明の引出式容器
 現在ではチルドルーム −1℃〜+1(食品が凍り始めるギリギリの温度)
 お刺身やお肉を凍らせずに美味しく保存が可能
 日本の技術者が考え出したものです。
野菜室はみずみずしく保存するために乾燥しない独立したコンパートメント室に そして大きい野菜、小さい野菜を大量に小分けして保存でき、見渡せられるよう使い勝手の良い引出式にしました。(昔は野菜室は冷蔵室の一部で保存容量の少なかった)
冷凍室も冷凍食品の普及で整理して本棚のように保存できるよう使い勝手の良い引出式、それの間仕切りで整理できるよう 工夫されています。

現在ではこの日本の冷蔵庫(多ドア)が中国、アジアでの富裕層に受け入れられているそうです。

冷蔵庫の耐用年数は7-10年。家族で毎日使うものです。中も外もきれいにお掃除して労をねぎらいましょう。