東京オリンピックの誘致プレゼンで滝川クリステルが「お・も・て・な・し」という言葉をアピールしましたが、実は私はこの言葉が嫌いです。形式的ないしは作為的なものを感じるからです。日本人は型から入るのが好きで柔道だの茶道だのとなんとか「道」と言う言葉がよく使われますが、パターン化、マニュアル化してロボット的に教えこめば学ぶ方も楽なので一見マナーが良い人が多いように見えるだけではないかと思ったりもします。

その実、ある方は「見返りを求めるために行うのがもてなし」なので「おもてなし」は良い言葉ではないと言います。

日本で形式的にすぐれている、所作が美しいと思う事はしばしばありますが、それ以上の感動を覚えないのは「見返り」がちらつくからでしょうか。

一方、途上国でものもインフラも日本に比べれば不十分なのに心のこもった応対をしてもらうとありがたくて涙が出そうになる事があります。形式美なんかなくても、所作の練習などしていなくてもやはり「心が一番」と思う瞬間です。

ところが先日、日本でもこんな事がありました。弁護士事務所主催のセミナーに行った時の事です。かなり雨の強い日でした。受付の所でタオルを渡されたのです。白いふきんのようなタオルですが、濡れた洋服やバッグをこれでお拭きください、というものです。セミナー参加者数十名、しかも無料のセミナーなので事務所としては出費だらけです。ここまでの配慮をされると頭が下がります。

自慢たらしいかも知れませんが、私も結構配慮をしていて雨の日の外出時はほとんど折傘と傘袋を持って行きます。傘袋はファスナーで3方向完全に開閉ができるようになっていて内側には吸水パイルがついていますので傘をしまう前に洋服やバッグを拭くことができます。

なぜこうなったかと言うとホテルなど傘立てに傘を預けてしまうとその入り口から必ず出なければなりません。後で別の出口から帰ろうとしても傘をまず取りに行かねばなりません。その他、急な雨で訪問先に傘立てが用意してなかった、傘を間違えて持って行かれたなど傘をめぐってささいなトラブルがありがちだからです。その点、濡れないようにして自分が持って歩けばほとんどの問題は解決できるからです。

大きな台風も続けて来、今年の秋は雨が多かったような気がします。夏なら雨に濡れてもかえって涼しく思う事すらありますが、もう風邪の原因となったりします。無精をしないで天気予報が雨なら傘の用意を。