1週間前にインドネシアから帰って来ました。シンガポール経由でバリとジャカルタへの出張です。リゾート地での会社訪問はフィリピンのセブに続き2度目ですが、世界のリゾートという華やかな印象の裏には額に汗してものづくりに励む素朴な生活をする人びとがいる事を忘れてはなりません。額に汗、と書きましたが、それは私の事で彼らは慣れていてエアコンがなくても汗ひとつかいていません。

ジャカルタでは15年来の友人である華人女性の会社経営者とフリーの時間に旧交を温めました。いろいろ思いつくままになるべく荷物にならないようなお土産を持って行ったのですが、その中にほんやら堂のプチクールジェルを2種類入れました。

「それは喜ばれたでしょう」と手放しで喜ぶのは大間違いです。彼女のような富裕層の場合は移動はすべて運転手つきの車です。そして車の中はガンガンに冷房がきいています。日本の都会のように外をてくてく歩いたり、電車に乗ったり、は一生あり得ないです。もちろん、オフィスもお店の中も半袖でしばらくいると骨まで痛くなるほど私は寒く感じます。さて、このような環境でプチクールジェルを使ってくれるでしょうか。

「仕事が忙しい時頭を冷やすのいいかも。目を冷やすのにも使える!」これが彼女の回答。インドネシアでは働かない華僑と働くインドネシア人は見たことがない、と言われる通り、彼女は繁忙期は毎日徹夜で仕事をします。いくらエアコンの効きすぎた室内でもフィーバーしちゃうのかも知れませんね。「不要な時はペーパー・ウエイトにでもしてね。かわいいから。」と私。さて、彼女は愛用してくれるでしょうか。しばらく経ってから聞いてみるつもりです。

インドネシアで仕事をする、日本人にとっては温度差がつらいです。私の場合は工場や工房に入りますので中はエアコンはありません。あっても天井から大きな扇風機がまわっているくらいです。逆にオフィスやお店内は先ほど書いたように痛いほど寒いです。

車で外出し、小1時間ほどして戻ると車のシートや窓際はバーベキューになってしまうほど暑いです。運転手さんももちろん戸外の木陰などで待っています。そしてしばらくするとエアコンが効いてきて寒くなるという按配です。

これを繰り返すと体力も気力もどんどん奪われていくのを実感します。南のほうの人は怠け者というような言い方をする人もいますが、正直なところ集中して長時間働きまくるのはちょっと無理と経験上思います。

ジャカルタの中間層にもやっと白物家電が普及するようになったとニュースで見ました。年中夏ですから乾燥機や脱水機は別に使わなくても平気です。食材をストックしておくという習慣もあまりありませんでした。屋台も含め外食が安いので家で作る必要がないのです。また、自宅の近くまで食材を売りに来たりするので専業主婦でも買い物に行かなくても平気、という文化があります。

所変われば品変わる、海外で商品を売る事は案外難しいものです。