東京ビッグサイトで開催された国際宝飾展4日間と銀座のジュエリーサロンで行われた個展2日間とずっとフランス人女性二人と仕事をしていました。

日本人は「相手を傷つけてはいけない」「露骨に否定してはいけない」という美徳の持ち主であるせいか、「後でまた寄ります」「帰って検討します」というような婉曲な方法で断りますが、これは外国人にはまったく通用しません。「後でっていつ来るの?」「名刺をいただいたから電話をして確認してほしい」などと言われ私は仰天します。何と純心な人たちなのだろうと思ったり、本当にほしければその場で発注するに決まっているのだから空気が読めないにもほどがあるなどと思うこともあります。

おまけに「素敵なデザインですね」「きれいな細工ですね」などとさも気にいったが如くのお世辞を言うので外国人側はますます混乱します。日本人としては買わないのでばつが悪くてお世辞のひとつやふたつを言って帰ろうとするだけなのですがどうも逆効果のようです。中には非常に表現力の発達した人がいて「よくもここまで言えるものだ、買いもしないくせに」と私は内心思うのですが外国人はこれはしめたとばかり粗品をどんどん渡したりします。そこで「日本人はお世辞が多いから100%信じてはいけない」と注意をするのですが何か私の根性が悪いみたいで悲しくもなります。

もともとヨーロッパの高級ブランドなどは「冷やかしお断り」で買いたい人のみがアポを取ってやっとお店に入れてくれるような所もありますので「冷やかし」が常習となっている日本を理解してもらわないと詐欺にでもあったかのような気分になるようです。「あの人は興味深げに見ていたのにどうして買わないの?」と質問が飛んできます。「日本人は買い付けには非常に慎重で会社に帰って会社のルールに従って決裁します。また国際見本市の会場で情報収集をして研究しているだけの場合もあります。」と説明するとニセモノを作ろうとしているのではないかというような目をします。

潜在顧客に対しては事前に電話でお誘いをするのですが「行けたら行きます」「たぶん行きます」という返事はまず「来られない」「来る気がない」という意味です。外国人たちは「来ると言ったじゃないの。もう一度電話をしてもらえます?」

業を煮やした私は親しい相手なら「期待をさせてはかわいそうですからはっきり断ってください。でないと私は何度もお電話をしてご迷惑をおかけすることになります」と悲痛なお願いするのですが、やっぱり適当に嘘をつく人がほとんどです。これは美しい嘘なのか、あるいは迷惑千万なのか、私も何と通訳しようかと思い迷うことしばしばです。特に日本人は外国人には甘いです。どうせ日本から出て行くのだから良い思いをさせて帰らせてあげたい、あるいは良い人だったと思われたいに違いありません。

ビジネスの上でNOは大切だと思います。相手に期待を抱かせず、時間の無駄なくよそを当たってもらうようにする方がはるかに親切だからです。そしてNOの理由も言ってあげれば今後の参考になると思います。NOと言う勇気を持ちましょう。