昨年の秋、ほんやら堂の方々と中国、ベトナムへ出張しました。そのときキャセイ・パシフィック航空に久しぶりに乗りました。
キャセイは伝統ある香港のエアラインです。
私自身は香港と長らく貿易取引もあり、香港人の知人友人がたくさんいますが、香港人は頭の回転が早く、アクティブな方が多いような気がします。これらの特性を悪く言えば、落ち着きがない、粘りがないとも言えます。
ところが、キャセイのキャビン・アテンダントたちは香港人であることを忘れさせるがごとくの落ちついた態度、お客様に向かっての笑顔が実にすばらしいものでした。この笑顔はおそらく何日も鏡に向かって練習したに違いないと思われるような「作り笑い」なのですが、お客様を迎えるときの適度な緊張感のある喜びと謙虚さに満ちあふれていました。
機内を打ち合わせの場、休息の場とする私にとってはサービスが良すぎてキャビン・アテンダントが始終ばたばた歩きまわっているのは好きではありません。また、日本の流通業界によくある形式だけのお辞儀や口先だけの「いらっしゃいませ」には誠意を感じられないこともしばしばです。
キャセイの「これは本物だぞ」と感じた私の目に狂いはなく2005年、2006年と連続して「エアライン・オブ・ザ・イヤー」を受賞しています。
男性のキャビン・アテンダントが私に「香港の方ですか?」「いえ、東京に戻るところです。」「じゃあ、日本人なんですね。ひょっとしてこの方たちとご一緒ですか?」と彼は少し残念そうに通路をはさんだ席に座っておられるほんやら堂の方々を見ました。この機内は通路をはさんだ席は前後が少しずれるようなレイアウトになっていましたので私の事を一人旅と勘違いしたのかも知れません。ナンパ?!もし私が一人旅の香港人だったら東京の名所でも案内してくれるつもりだったのでしょうか?
あとでこれも「おばさん」を喜ばせるサービスの一環かな、と苦笑してしまいましたが、グッド・サービスの基本はまずはお客様への奉仕の精神、それが基本動作となって表れていることではないかと思います。