ほんやら堂の本社は群馬県高崎市にあります。同じ群馬県にある「富岡製糸場」がこのほどユネスコの世界遺産への登録が勧告されました。連休に入り、さっそく賑わっている様子がTVでも紹介されています。

富岡製糸場は、明治政府が1872年にフランスの技術を導入して建設したものです。産業の近代化を図るために当時最大の輸出品であった生糸の輸出促進を行いヨーロッパの機械製品や軍需物資を買っていました。機械製糸工場としては当時世界最大級の規模。

富岡に立地が選ばれた理由は
1.富岡付近は養蚕が盛んで生糸の原料の繭が確保できる
2.工場建設に必要な広い土地が用意できる
3.製糸に必要な水が既存用水を使って確保できる
4.燃料の石炭が近くの高崎・吉井で採れる
5.外国人指導の工場建設に地元の人たちの同意が得られた
からだそうです。

1893年に三井家に払下げられ、1939年に片倉製糸紡績会社(現 片倉工業)となり、第2次世界大戦中も操業を続け1987年に閉鎖されました。2006年に初期の主要建造物が国の重要文化財の指定を受けました。

働いていた工女たちは各地で技術を伝えることにも貢献し「上州(群馬)かかあ天下」の由来とされているそうです。養蚕や絹糸業の担い手だった女性たちが優秀で働き者だったのでしょうね。

製糸工場というと「あゝ野麦峠」のような哀史的なイメージを持ちがちですが、少なくとも官営の時代は類まれな労働条件の良い職場だったようです。ところが民営化されてからは利潤追求のため労働条件が厳しくなりストライキなども起こりました。世界遺産に指定されるとこのような人権問題もクローズアップされることでしょう。

富岡製糸場のHPはhttp://www.tomioka-silk.jp/hp/index.html

ほんやら堂も天然シルクの保湿ケアシリーズを開発していますが、絹は大昔から高級素材で特徴としては軽い、丈夫、柔らかい、吸湿性が良い、染色性が良い、通気性が良いところにあります。日本はかつて世界最大の絹の生産国でしたが、現在では中国、インド、ウズベキスタン、タイ、ブラジルなど新興国や途上国の輸出品目となっています。まさに時代の変化を感じますが、日本の絹の文化もあわせて振り返ってみたいものです。