先日、感動したことがあります。
「日本で新型インフルエンザが発生し、4,000校も閉鎖したと聞き驚いています。先生はお元気でいらっしゃいますか?ハノイで一度しかお会いした事がないのに急にメールをして申し訳ありませんが、様子を教えてください。」というメールをいただきました。送信者はベトナムのニンビン省にある商社の役員です。

私は2005年から2007年まで、毎年1回ベトナムでハンディクラフト(手工芸)の輸出者に対しマーケティングを教えました。講師のときは私も「先生」です。この方は2006年のセミナーに来られたと記憶しています。毎回聴講されるのは200-300人でそのうちの何割かの方と名刺交換をさせていただきます。なぜ2006年だとわかるかというと、私は異様にビジュアルの記憶が良くて、その名刺をいただいた時の自分の洋服の袖を覚えているからです。毎年洋服は変えていますので、この名刺をいただいた時の袖の色を思い出して判別できたのです。

挨拶の言葉を交わしたのはその時だけです。丸3年近い沈黙を破って、新型インフルエンザの心配をしてくださったとは。成長いちぢるしく、目まぐるしく変わっていくベトナムにあって私のことをわざわざ思いだしてくれたなんて本当にありがたいと思いました。

友人の知日派のベトナムのキャリア・ウーマンたちが言った「ベトナム人は日本人のように大袈裟にお礼を言ったり、謝ったりしないけれど、ここぞという時は必死に相手に尽くします。」という言葉をふと思い出しました。

私はさっそくお礼の返事を書き、この会社がひょっとして日本に輸出をしており、様子が継続的に知りたいのかとも思い、NHKウエブサイトの英文版のURLを教えておきました。「今度ベトナムにいらしたら、ぜひ当社にもお立ち寄りください。」

ところでニンビンってどこ?ハノイから約100kmの紅河(ホン河)の河口にあります。ハノイは紅河に囲まれているので漢字では「河内」と表記します。ベトナムってフランスの植民地になるまでは漢字表記だったんですよ。 

新型インフルエンザの発生は困りものですが、こんな温かな交流もプレゼントしてくれました。