年賀状は日本独特の文化と言っても過言ではありません。クリスマスをはじめ季節の挨拶にはがきを使う国というのは30年以上を越える私の国際ビジネスの世界では他に見当たらないからです。

もともと年賀状は「年始まわり」のかわりに始まったそうで、お年玉つき年賀はがきは1949年から発売されました。自分の買ったくじが当たるのではなく、いただいた側が当たるというのも何だか素敵なシステムですね。

はがきというのは差出人にとって時間もコストもミニマムですみます。受取人にとっても家族や職場で回覧も簡単ですし、定形なのでそのまま住所録がわりに保存している方も多いはずです。

年賀状の最大のパワーは何年、何十年とお会いしていないのに年賀状の交換だけ細々と続けることが可能なことです。まさにこれが「ご無沙汰を一気に返す年賀状」の良さだと思います。賀状の交換が長続きする相手というのは単なる習慣によるものではなく、「元気です」と伝えたかったり、「あのときは本当にお世話になりました、懐かしいですね」と思える相手ばかりです。

毎年きちんと年賀状を下さる約20年前の上司からの年賀状が今年は来ませんでした。お正月が明けてすぐ奥様からお電話をいただきました。昨年の12月24日に肺ガンで他界されたとの悲しいお知らせでした。まだ、68歳。10年ほど前に食道ガンを見事に克服され、新聞にも取り上げられたほどです。これはご自身のすさまじいほどの病気の研究と奥様が病院のそばにアパートを借りての懸命の看護の成果でした。実は昨年私が胆嚢の手術をしたことを聞きつけて「健康本」の抜粋コピーを送ってくださいました。手紙の文字がずいぶん乱れていたのは今から思えばきっともうかなり体調が悪かったのでしょう。気づかなくてごめんなさい。この健康本のコピーは元上司から私への遺言みたいなものです。はい、今年も健康に気をつけて頑張ります。