「歩くを考える」③ 5本指ソックスと血行

「歩くクッション靴下」のwebサイト http://honyaradoh.com/lp/aruku/top/
に「足のお悩みQ&A」というコラムがあります。足にまつわる質問に群馬大学大学院保健学研究科の坂本雅昭教授に「わかりやすく、少しくわしく」説明をお願いしたものです。坂本教授は理学療法士、医学博士でもあり、教育のみならず臨床業務も行っている足の専門家です。

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質問
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日本では5本指ソックスは女性の間で冷え取りとして人気が出ました。指を広げると血行が良くなり、冷え症の改善になると言うものです。指を広げるだけでそんなに血行が良くなるのですか?

★★★★
坂本先生
★★★★

現状では残念ながら5本指ソックスと下肢の血行、冷え性の改善についてのデータは持ち合わせておりません。

今後の研究テーマとして興味深い内容です。実際に5本指ソックスを履いた方々が体感された結果なので、その理由について足の構造と機能から考えてみましょう。

窮屈な靴を長時間履いていた場合、足指が締めつけられた状態ですので、血管も圧迫されます。靴を脱いだ後もすぐには足指が十分に開かないことから、5本指ソックスを履くことで足指の関節が伸び、血行が良くなることは考えられます。

また、サイズや足型の合った靴を履いている場合を考えてみると、5本指ソックスを履いていることで、足指が開いた状態での立位、歩行が可能となります。素足の状態でご自分の足背と足底に手をあてながら、足指を軽く開いてみて下さい。

足背と足底の腱が動き、緊張するのが感じられるはずです。逆に、足指を軽く曲げた時には、腱が緩み緊張がなくなるのが感じられます。

このように足指が軽く開いた状態では、足指や足部の筋(腱)がある程度緊張しているため、立位や歩行で体重が足部に荷重した際に効率よく働きます。

これらの筋は、下腿の筋(ふくらはぎ)とも関連しているため、下肢の筋活動が高まり、下肢の血行が良くなるのではないでしょうか。

足の裏は非常に敏感な部分です。指先や顔面と同じように、わずかな刺激でも感じ取ることができます。

例えば米粒の半分ほどの小石を踏んでも、それを感じ取ることができますが、背中から臀部あたりでは識別できないことがあります。

人の身体には、外部からの様々な刺激を感知する受容器というものが存在します。

受容器には痛覚、触覚、圧覚、温覚、冷覚、振動覚など、それぞれの刺激に反応するものがあり、身体の部位によってその数と種類は異なります。これらの受容器からの刺激信号は末梢神経、脊髄を通って脳にまで送られます。

一部の信号は脊髄でUターンし、刺激の入った部位や身体の他の部位に反応を及ぼすこともあります(手足に痛みの刺激を受けた時、無意識かつ瞬時に手足を引っ込めるなど)。

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過去の記事もあわせてご覧ください。

「歩くを考える」① 足指をリラックスさせる
https://honyaradoh.co.jp/honyara-life/honyara_kawaguchi/archives/52292216.html

「歩くを考える」② 履物の中で足指を密着させない
https://honyaradoh.co.jp/honyara-life/honyara_kawaguchi/archives/52292361.html

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